野の達人
いつも、このひとは突然やってきます。
山の達人。
18年前、やまちゃんをエベレストへ導いた先輩です。
(その経験がなければ、もしかしたら今のこの暮らしもなかったかもしれません)
この度は愛する妻と犬とともに来訪。
やって来たかと思ったら、あっという間に野らり暮らりの庭を快適な住居空間にしてしまいます。
野らり暮らりのいちばん角っちょ。
北に平原を見渡し、南に霧島を見上げ、空いっぱいの星空も、朝焼けも、ぜんぶ独り占めできるその場所が、達人の居場所。
「部屋の中にいるなんて、もったいない。」
という言葉通り、その場所で暮らしの一部始終は行われます。
欠かせないのはかっぽ酒。
青竹をどこからか調達して来て、手際良く酒筒と杯を作成。
焚き火であぶって燗をつけた日本酒は、最高に美味しい…
豪快に燃える火に囲まれて、おふたりのはじける笑い声が夜空に放たれていきます。
翌日は、どこからか自然薯を掘って来てプレゼントしてくれました。
半袖Tシャツ、汗だく、そして眩しいばかりの笑顔で!
何から何まで自分たちで用意され、やまちゃんとめぐは我が家の敷地内にいながらにして、大変なおもてなしを受けたのでした。
ついには、山の神様までこの場所に降臨させてしまいました。
山の達人は、野暮らしの達人で、遊びの達人で、人生の達人でもありました。
そしてやまちゃんは、山の神に捧げられたのでした…
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